ポイントなしのコメント
[菊西 夕座]
>夕飯の支度を始めるキッチンテーブルの >クリスタルタンブラーには >沈みきらぬ夜の空洞を燈してくれる >桃色白詰草 ありふれた家庭の夕食を前にしたキッチンテーブルに白詰草が飾られているだけなのでしょうけれど、家事と買い物に追われた疲労感を肩から荷を下ろすようにしていったん道端においてから、夕陽を拝んで帰ってきという一種の儀式を済ましてからみた場合、「沈みきらぬ夜の空洞を燈してくれる」というマジックが切実かつ素直な現象として立ち上がるために、たいへん際立って見えます。まるでクリスタルタンブラーから星空の一切が照り輝いているかのような印象を受けます。しかもそれはギラギラとしたまぶしい輝きではなく、こころを穏やかに静めてくれる空洞としての燈しであり、星々でうめつくされた大きな森のような森閑としたさまを想像させます。 おそらくこのささやかな夕餉は、もはや昼のうだるような暑さからも、洗濯物を干すというわずらわしさからも、重い買い物袋をもって坂道をのぼるという重労働からも解放されて、ストレスのようにたまってしまった余計な感情も夕陽にすっかり溶かしてきてしまったがゆえに、ちょうどクリスタルタンブラーのように空っぽの澄み切った透明状態で堪能できる幸福なひとときなのでしょうね。 しかし、それがまた朝になると、待ち人のいないバス停を白昼の星空に眺めるという寂しい状態に陥ってしまう。この夢みがちな孤独感が夜のマジックを一層切実かつ不燃の灯としてしまうところに、強い魅力を感じました。 ---2025/07/13 14:43追記--- ポイントなしにしてしまいしたが、ポイントもありでお願いします。
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