ポイントなしのコメント
[菊西 夕座]
白い迷宮のなかに、黒いどじょうひげをまとった唇が鎮座していて、その唇(思い出)に触れるたびに、スイッチが入り、迷宮の階層が深まって、違和感が快感となって広がるような、ひとつの痙攣的な、震えの余韻が、どこまでも伝播し広がっていくようでいて、しかしやはりそれは閉ざされた迷宮という空間内部の広がりに限定されており、この無限的な広がりと閉じ込められている感との相反する動きの摩擦こそが、まさしく背徳的であると同時に純真である唇同士の一瞬の触れあいに秘められた欠落的かつ永続的快感なのだと思われる次第です。
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