ポイントのコメント
[中川達矢]
タイトルがいい意味でずるい。つまり、曖昧であることを選びとった「私」という、矛盾性をはらんでいる。
「私」は見ている人であり、同時に「あなた」に見られている人。
その見方が比喩であり、「私」は世界をひろげていく存在だけれども、この詩においては「あなた」によって「私」がひろげられていく存在でありたい、ということに重きがあるように感じる。
「私」はあらゆる可能性を期待しながら、期待されたい、保持していたいと同時に保持されたい。
「あなた」が実際にどう思っているかは、「私」がどんなに考えてもわからない。
だから、「あなた」は「私」の期待している「あなた」であってほしい、という淡い思いと同時に、不安のようなものを抱えているその広がり、あらゆる可能性、それが語り手であると同時に作者である「私」が描く「私」と「あなた」の「比喩」。
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