ポイントのコメント
[深水遊脚]
不毛なものとの訣別をうたう対象作品を、詩作とダブらせながら書かれた文章。そこに現れた、言葉を手にしようと困難なものにあえて挑む姿勢を称賛します。各々にとっての荒地、原野、実りが異なり、「荒地へ逃げる春の友人たち」にもそれぞれの原野があり、機が熟したらそこに向かうもの。他者はどうあれ、おのれの原野、目の前の困難に集中しなければ実りはないでしょう。
対象作品も、この批評本文も、個人の内面世界に閉じている点が気になるところではあります。農地の開拓も種まきも収穫も、個人の力で出来ることではありません。原野に踏み出す人たちのために他の人たちが存在するわけではありません。そんな思いから私は、対象作品に感化されませんでした。
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