多摩川/八布
ポケットの中のごみくず
五月の晴れた空
遠い水の匂いと
静かな予感が 僕を眠たくさせる
つま先を打ち付ける仕草
白いシャツの背中に寄った皺
言いかけて止めた言葉の死骸が
心の底に積み上げられる
色んなことの意味が わかりそうでわからなくて
耳鳴りに似た飛行機の音に紛れるように
無害な独り言を呟いた
何かをいつも探してる
ずっと探してる
心の糸にハサミを入れれば
楽になれるとわかってるけど
ポケットの中のごみくず
爪の先に残る余韻
秘密の言葉のようなせせらぎを
鼓膜の裏側に潜ませる
前 次 グループ"こころの、こえ。"
編 削 Point(4)