品川物語/
恋月 ぴの
この季節になれば
川幅いっぱいに押し寄せる銀鱗
浮ぶ屋形船を押し退け
向う岸まで
命をかけ
届けようとするもの
人生の在り様
私の意思
立会川の岸辺には
あなたへ
手渡そうとした手紙
あの銀鱗たちのように
只ひたすら
目指せるちからがあったならと
唇を噛み締めてみる
それは
誰のため
たとえば自らへの慰めなら
笑って許してみよう
立会川に架かる
名も無い橋の上から
揺らめく銀世界
恋の行方は何処まで
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