天衣無縫/相良ゆう
 


 まさしくそれは 至福のときでした







「その羽衣を返してください それがないと天上へ帰れないのです」

  地上に迷い降りた天女は 羽衣を見つけて懇願しました




けれど至福の味を知ってしまった後では このまま返すのが惜しくて堪りません




「あなたは舞の名前も 羽衣の名前も ご存じないのでしょう?

  そのような者がこの羽衣を纏い舞っても 至福の本質には触れられないのです」

   天女は不思議なことをいいました





「もし羽衣を返してくれたら 舞の名前と羽衣の名前を教えましょう

  わたしも昔 
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   グループ"四文字熟語"
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