夢と幻は永遠の無限 妄想の遺書に うなされる月/八十作品/板谷みきょう
宵闇に紛れ空に消えゆく 淡色の偽らざる鴉
おしゃべりが 喋れなくなって果てしない
月淡く照らす 冷えた昔に書いた詩を摘む
ひっそりと風の音聞く 木漏れ日のまだら模様
☆**☆**☆
夢うつつに耳をくすぐる 替わりに延ばした手の挨拶
結び合うために秋茜 海を見ている
ぬくもりが恋しい瞳 蝶つがいの長い呻き声
透明な言葉は溶け 繰り返される 愛の言葉
夢ばかりを空に描く 傷付いた背中の翼
現在に 柔らかな風 懐かしい草の感触
嫌われた訳もなく 深淵の闇に青白く
はみ出した訳もなく細い月 心象の海鴎
透き通っていく波音 伸びる影ひきずる浜辺
臆病になった冷たい珈琲 恥じたままで氷の思惑
☆**☆**☆
前 グループ"一行詩"
編 削 Point(2)