扇風機 /服部 剛
 
スタンドの明かり一つ 
扇風機の音が聞こえる部屋 
木目の壁に映る 
後ろ姿の影は 
黙って首を振り続ける 

明日 
どんなに騒ぐ人がいようと 
やる気の無い人がいようと 
ぼくはぼく 

凸(で)っぱるおばちゃんや 
凹んだ兄さんの間に突っ立って 
額に冷や汗たらしつつ 
不恰好に皆と手をつなぐ 
案山子(かかし)になりたい 

夜寝る前に 
じっと見るのは 
まっすぐ伸びた背すじで立つ 
扇風機 

日々の猛暑に  
腐りかけていた 
ぼくの頬を
風が撫でる 




   グループ"にちじょうの、あれこれ。"
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