詩群「その海から」(01〜10)/たもつ
「序詞」
ゆりかごの中で
小さな戦があった
理不尽な理由とプラントが
長い海岸線を覆いつくした
けたたましくサイレンが鳴り響き
その海から人は
眠りにつくだろう
01
鳥は籠の外にいた
人は籠の中にいた
籠は夕日
海はいつものように
言葉で濁っていた
02
階段で数名の男と女が
アメリカ式のパーティーをしている
それがいったい
どこの国のアメリカだったか
アンクル・ボブの人差し指に
アキアカネが止まった
03
駅舎から煙突が生えて
子供たちは砂場の砂を
壊し続ける
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