哀しみ皇子(7)/アマル・シャタカ
だろ?
大丈夫さ、そんなに簡単に語りつくせやしないのだから」
太郎さんは笑った
どこからともなく
シミジミ〜シミジミ〜
と、哀示美鳥がないている声が聞こえるね
「ほら、哀示美鳥だって、そうしろって言ってるぞ」
太郎さんは、一本の木を指差してぼくにいった
そこには哀示美鳥が一羽いた
太郎さんは哀示美鳥の言葉がわかるの?
「いやあ、なんとなくさ
あの一本の木には、ときどき哀示美鳥が羽を休めにくるんだ
ここでは、数少ない我が友人というところだね」
太郎さんはまた笑った
とうさん、かあさん
ぼくはまた、しらない人の家に泊めてもらうことになっちゃった
ごめんなさい
でも、花子さんにも会っておきたいし
やさしい涙のこともしりたいから
じゃあ、また、手紙に書くね
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