哀しみ皇子(7)/アマル・シャタカ
からな」
え?じゃ、じゃあ、なんて呼べばいいの?
「ああ、そんなときは、太郎とでも呼んでくれって言ってある」
太郎?
「そうだ、そして嫁さんの呼び名は花子だ、わかりやすいだろう?」
そういえば、ぼく、出会った人の名前は何もしらないね
変な人、宝石職人のオジサン、売り子のお姉さん・・・・
「もっとも、二人しかいないから、おまえ、あなたって呼び合うぐらいだけどな」
太郎さんはそういって笑っている
そういえば、ここは、鏡のない二人だけの世界という駅だ
本当に二人きりってことなんだ
太郎さんは何をしているの?
「ああ、これか、農業ってやつだな」
農業がおしごとなの?
「いやあ、
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