隣人計画 3/英水
私の部屋を嵐が行過ぎた
隣人の部屋に避難する
隣人の部屋
廊下には、泥水をかぶって、折れた枝
幾重にも髪がからまり、とぐろぐろと黒い
雪が降り出した
雪は圧縮すると燃える
そして、心に生えた傷をゆっくりと焼く
雪でカバンを作り、背負って行く
水の鳴き声が聞こえる
隣人の部屋が浸水するのも時間の問題かもしれない
雪を燃やす
チーズフォンドュを暖めながら、
テレビの下に積もっている記憶などについて語り明かす
しばしの休息
上空には低気圧の稜線がたなびいている
明日出勤するまでには、全てをやり直さなければいけない
隣人は、ひとしきりの微笑みの後、
キッチンのカウチで寝息を立てている
その頬に口付けし、私は隣人との距離を測定した
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