実験的感覚的その1/はじめ
 
 僅かな隙間からそれを見た
 午前二時半
 生物が凍死する時間
除雪機が轟音を上げて車道を抉っている
 この時間帯は毎日のようにやって来る
透明に近いブルーが部屋を満たしている
 冷たくて暗くて窮屈で遠い世界
 その世界に首を突っ込んだ
 目が痛い
 頭の中で働く世界
 だいぶ慣れてきた
 静寂さが戻ってきた
 除雪機の振動が気管支の上の辺りにかけて残っている
 澄んだ歌声が聞こえてくる
 僕の部屋には明かりが灯っている
 その明かりを消した
 電球の熱を瞼と眼球の表面に感じた
 先にかけて細くなる詩
 心の底は湖に水が無いみたいに空っぽだ
 生臭い匂いがする
 しかし生暖かい
 僕は冷たくて暗くて窮屈で遠い世界に入っている
 ここよりももっとひんやりしている一階
 そこは冬の幻想的な世界だ
 氷の粒が無数に光り輝く外
 生温い体
   グループ"実験的感覚的シリーズ"
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