25、蜻蛉 【かげろう】/
雨宮 之人
薄い翅(はね)
はばたいて
数日の 玉の緒
切れた先に 何が見える
揺らめいて 嗚呼
水面(みなも)を舞う だが
羽音(はおと)は聞こえない
その かすかな存在のゆえに
焼け焦げた空が
銀色の水面が
立ち昇らせた 夢の如く
透明な翅は
哀れみも彼方
幻のように 今日をはばたく
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