『菱形テロル・ハレルヤ!』/川村 透
 
に後ろに飛びすさり黒豹のように男を一瞬見つめたかと思
うと銀の残像を残したまま自動小銃をタタ、と空めがけて打ち鳴ら
しザザ、と茂みに身を踊らせ闇に消失する
     彼女の、誰とでも寝るようなざっくりとした黒髪山猫の
瞳カーキ色の襟元あらわに、紺色に張りつめた胸のたわわが濡れほ
つれ野性のあどけなさが少女のように柑橘類を皮ごと噛みしめた時
の芳香が色濃くただようのだ、ああああ男は苦痛に体を海老のよう
にふるわせのたうちながら隣国の黒の空間に噛みちぎられた白い思
いをおびただしく放出し続けるのだ国境線を菱形にたわませたまま
遠くサイレンの音とともにぎらりとライトが男を捉え逡巡なく国
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  グループ"テロリズムのエ?テル"
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