PIGSTY?/暗闇れもん
った。
ポケットに入った防犯ブザーを握る手は汗をかいていた。
怖い。怖い。怖い。怖い…。
途方も無く長い時間に感じた。
でも、あいつは何もしてこなかった。
よかった、気のせいだったと安堵の溜息を付き、防犯ブザーから手を離したそのとき、背後で声が聞こえ突然何かを手に握らされた。
思考が止まる。
いつの間にか背後に来ていた男は耳元で「落し物ですよ」と呟き、いなくなった。
金縛りをかけられたように体は自由を失っていた。
手に握り締めたそれをただ呆然と見ていた。
銀色のプレートのついた赤い首輪。
プレートに刻まれた文字が私の正常な精神を一瞬にして壊した。
「YUSUKE」
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