三月/
松本 涼
夜を急かすように
遠く点滅を続ける塔の先端の赤にも
この街の川は知らん顔で今夜も
静かに月を映している
僕は少し落ち着かず
ひとつの夢を見ることが出来ない
僕はしゃがみ足元の
惑星のような飴玉のような
小石を拾い汚れた川に
ぽちゃりと落とす
小石に当たった月が
身震いするように波紋を広げる
三月から僕がはみ出す
次
グループ"12ヶ月"
編
削
Point
(7)