おねえさまへ/未有花
窓辺から流れるやさしいアヴェ・マリア
おねえさまの奏でる白い指先
つい見とれてしまうほどとても綺麗で
おねえさまと呼べる喜び
今深く心に感じています
親愛なるおねえさま
あなたはもうすぐ卒業なさってしまう
あなたのいない学び舎は
私にとっては暗く淋しい牢獄のようです
あなたは早く妹を作れとおっしゃるけれど
おねえさまが卒業なさるまでは
あなたの妹でいるわがままを許してほしい
おねえさまからいただいたこのロザリオを
誰か他の人に渡すなんて
今の私には考えられないのです
おねえさま
大好きなおねえさま
光をたたえた長い黒髪をなびかせて
さっそうと歩くあなたの姿はとても美しい
あなたの妹でいられることを
こんなに誇りに思うことはありません
あの日あなたに出会えたこと
そしてあなたの妹になれたこと
今私はマリア様に深く感謝いたします
親愛なるおねえさま
今日も私の名前を呼ぶあなたがいます
そしておねえさまと答える私がいます
おねえさまと呼べる喜び
どうか残りわずかな月日を
もうしばらくあなたの妹でいさせてください
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