滑歌/朱雀
 
――三千世界の烏を殺し主と朝寝がしてみたい(注:高杉晋作が作った都々逸)――


寝物語の睦言に

誰がうとたか漫歌(そぞろうた)


熊野の牛王(ごおう)を裏返し

誓紙に徴(しる)す心底を

戯(たわむ)れごとと

笑み曲ぐ君様(きみさま)


郭(くるわ)の網が絡みつく

大門超えた恋所(こいどころ)


現事(うつつごと)と知りながら

八咫(やあた)の烏に願掛けりゃ

扶桑の枝で かあと鳴き

血反吐を吐いて那落に落ちる

破約の責めを鏡に映す


洒落のわからぬ明鴉(あけがらす)

慈鳥と呼ぶか

阿呆烏(あほう
[次のページ]
  グループ"詩物語"
   Point(5)