おかえりなさい/さくらほ
久しぶりの母からのメールは
「もうおとなりのうちの庭に梅が咲いたよ」だった
慣れぬメールをポツポツとうつ母の姿が浮かぶ
娘が梅の花に興味がないのは知っているはずなのに
伝えずにいられなかったのだろう
季節の訪れはどうしてこんなに優しいのだろう
春は知らぬ間に
どこかで生まれていて
柔らかに育っていて
なぜか人の背中をそっと押してくれるようで
となりの家の梅を喜ぶ母に
私もどこかで一つ春を見つけて
母に送ってあげよう
きっとそこかしこに
春の気配が隠れきれずに
呼吸をしているだろう
ああ
母と一緒に探してみるのもいいかもしれない
季節がもうすぐ春に帰ってゆく
終わりも始まりものせて
おかえりなさい
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