トパーズ/黄色の量子論/クリ
黄色は救いの残像
雨がひとすじの線に見えるのも
火が一条の光に見えるのも
錯覚を愛する黄色のしわざ
疑いに 目を凝らせば
淋しい不連続に帰る
ただし それも一瞬
黒より もっと黒い闇に
閉ざされた日
不連続の波間にあらわれた
一群の夜光虫
指先をたゆたう
黄色の群れは
瞬くと 消えてしまいそうで
涙さえためらってしまう
そして見えない月は
やはり そこにはないのだろう
黄色の影が動く夜
不連続からの連続のなか
ハチドリのかたちをした映像が
蜜の汀を徘徊する
観察者と対峙する映像よ
黄色に愛される
錯覚よ
映像よ
嵯峨野 桜/Kuri, Kipple : 2004.03.20
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