しっぽのある鉄塔/クリ
 
ひどく目立たない黄色のレンガ道を行くと
夏休みの少し手前に古い送電鉄塔が見える
陽炎虫が大発生した年の真夏のある日
一人の男の子がその鉄塔の下で感電死した
鉄塔からぶら下がっている電線に触れたんだ
鉄塔は人間が大好きで電線のしっぽを振ってしまう
会社の人が来て電線を切断しようしたけれど
近づくとギュランギャランしっぽを振るので
とっても危なくて無理な話だったよ
それどころか鉄塔がだんだん帯電してきたのさ
夜になると月もないのにぬもーっと光って
魔法のようにきれいだという噂が広まり
毎晩何百人もの人が集まるようになった
今度は酔っぱらいが感電して死んだんだ
半径50メート
[次のページ]
   グループ"コラボレーション"
   Point(14)