わたしたちの豚/アンテ
ち
あなたは仕事が忙しいと言って
毎日遅くに帰るようになった
玄関から音が聞こえると
豚は餌を食べるのをやめて
一目散に駆けていった
耳をふさいでも
ブゥブゥ鳴く声が聞こえた
ずいぶん長いあいだ
あなたは部屋に入ってこなかった
なにをしているんだろう
あなたは本当は
豚が好きなんじゃないか
わたしは
どうなんだろう
昼のあいだ
出かける用事も思いつかなくなって
なにをするのも
億劫になって
ブゥブゥ
ピンク色の豚は
わたしにまとわりついた
ブゥブゥ
餌が欲しいと鳴いた
ブゥブゥ
ブゥブゥ
ブゥブゥ
包丁で何度も何度も刺すと
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