寓話 不可解な死 43/クリ
デルが騒ぎ始めました。
彼は仕事の途中だったのにも関わらず職場を離れました。
それでもデルはまだ興奮しています。
彼は隣の町に行きました。それでもデルは暴れています。
新幹線に乗って3時間ほどの都市に行きました。
だめです。
彼は思い切って飛行機に乗り、ソウルに行きました。
ポケットの中のデルの興奮は、
フライト中も、そして韓国に着いてからも収まりません。
彼は思案に暮れて、とうとうアメリカに行きました。
デルは狂ったようにもがきました。
彼はその理由を悟りました。
そしてもうどこにも行かず、
もはやぐったりしているデルを掌で包んで、
明るい金門橋からいっしょに身を投げました。
地球が目映く輝いたのは、それから5日後のことでした。
Kuri, Kipple : 2006.02.07
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