台風のように/よしおかさくら
 
麦茶の入ったグラスが
汗をかいてるよ
伸ばし過ぎた爪も
切ってしまうのはさみしいの

なにもかも溶けていき
温い風に乗ったあなたに
追いかけられる夢を見る
「飲んでしまえば楽になれるよ」
髪へ瞼へ唇へ
眠り薬を流し込む
永久の眠りを流し込む
こんなに優しいキスも皆
手に入ったら最期なの
腕も瞳も歌声さえも
振り切って逃げ出さなければ

台風のように
泣いて泣いて目が覚めて
ほうら ここにはあなたは居ない
だから 独り爪を切り
眠り薬ならぬ麦茶をひとくち
こおろぎ達が歌いだしたら
夕涼みに散歩に行こう
明日は晴れるか占おう
   グループ"創書日和、過去。"
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