ギラギラの爪/佐々宝砂
 

わたしの爪はいつになくglitteringで、
鍵のかたちをして、
ぴったりはまるはずの何かを待っている。
やすりで削ると銀色の屑が新聞紙の上におちる。
もう秋だなあと思うけれどまだ暑い。
網戸のむこうに暗い影がうごめく。
ウツムイテナメルアシがまだいるんだな、
早くおかえり、
ウミニトケル山へ。
ヤマドリノアシみたいにそうめんにかけて食べてしまうよ。
glitteringに尖った爪を蛍光灯にかざすと、
影はゆっくりと去っていった。
   グループ"創書日和、過去。"
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