創書日和「鏡」/虹村 凌
あぁこんなにも疲れた暗い顔をしていたのか
老けたオッサンだな
笑う
冷たい水でもこじ開けられない瞼は
かすかな熱を帯びたまま
どんよりとした光を漏らしている
ゆらりゆらり
三人に分かれた俺は
不均等な角度のままで
立ち尽くす俺を見つめる
洗面所の冷たい空気が少しずつ
皮膚の中に入り込んで血管をしめつける
ひゅるるひゅるる
隙間風が瞼を撫でていく
硝子と銀の隙間のシミが広がって
どんどん侵食していく
燃やされた写真みたいに
茶色いシミが広がって
三人をどんどん侵食していく
クチュリクチュリ
あぁこんなにも疲れた黒いをしていたのか
焦げたオッサンだな
泣く
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