空映え/伊月りさ
 
十二月に飛来した
結び目の青い鳥
八月に墜落した
羽ばたきが反射して
空が青い

慈愛が一番星だという
警戒‐牽制‐疑念の星座、
等距離の光年を
正義感の彗星が
ながれて
遠く
へんてこな生物のようなものが在って
かみさまのようなものは無い
世界のようなものを
わたしは夜空に盗み見る

ああ
宿命的なひとりぼっちの
電線が張り巡らされて
空はひび割れて
難しい車線になって
わたしは困っているけれど
意地悪で
意地悪が嫌いなので
愛している
青い鳥を殺した
漏洩の血液が反射して
空が赤い

反射して
わたしたち
鮮やかな空に歩いている



(創書日和 師走「鏡」)
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