創書日和。流 【Free fall flow, river flow】/佐々宝砂
青黒い、
時と云ふ名の液体に沈み、
我々は進む、
一直線に、
戻ることも、
横切ることも、
かなはず、
唯真つ直ぐに。
流れゆくものは時、
さう思ふのは間違ひだ。
時は一切流れることなく、
我々を取り囲む、
「在つた事」も、
「在るであらう事」も、
「在る事」も、
唯均等に存在し、
しかしながら我々は、
一方方向にしか進み得ない。
流れゆくものは我々、
青黒く静かな、
時と云ふ名の液体に沈み、
或は浮き、
けれど決して戻ることはかなはず、
流れ、
流れ、
己は自由だと信じてゐる。
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