嘘/虹村 凌
去年の9月で6歳になった
俺のデルのノートパソコンみたいに
重たい脳味噌がごりごりと回る
昔の事を繰り返し思い出している
同窓会の時に話をしたけれど
俺が喋る事と言えば
みんなが覚えていない事ばかりで
忘れられる人は幸せだと言う
俺はそうは思わない
忘れてしまうのは苦痛でしかない
忘れないように
繰り返し
繰り返し思い出す
今年の一月で24歳になった
俺の回転の遅い脳味噌みたいに
重たい瞼がぬるぬると回る
昔の事を繰り返し思い出している
もっと上手に嘘がつけたら
こんなに重たくなってなかっただろう
もっと上手に嘘が見抜けたら
こんなに重たくなってなかっただろう
どうせ嘘をつくのなら
バレない嘘をついてくれ
なんてまるで信用してないみたいなセリフ
一辺の嘘ですら忘れたくないのだ
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