創書日和「白」  たびだち/逢坂桜
 
げたブーケを追いかける声に、笑みがこぼれた。

  1ヵ月後、孫娘の花嫁姿を見届けた祖父が、亡くなった。
  棺に移された祖父を、みんなで囲んだ。
  色とりどりの菊に囲まれた祖父は、死装束だった。
  「どこにいくの?」
  姪っ子が、不思議そうに言った。
  「まっしろの服はたびだちなんでしょ?」
  大人たちの注目をよそに、姪っ子は私を見上げている。
  「そうだよ。おじいちゃんは旅立ったの。
   おばあちゃんに会いに行ったんだよ」
  「じゃあ、またあえる?」
  「・・・いつかね」  
  姪っ子の、ちいさくてやわらかい手をにぎった。
  祖父の旅立ちを、曾孫は笑って送った。
                               
   グループ"創書日和、過去。"
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