私達の馴れ初め/愛心
んやろか」
急に不安になって彼のコートと自分の傘を持つと
上着を持って外に駆け出した。
「寒っ。早(はよ)見つけたらんと」
私は傘を開くと走った。
居そうな所を見つけようとがむしゃらに走った。
『どこ行ってん?!あのドあほ』
どの位走っただろう。
周りはもう雪だらけで、少しでもバランス崩したら滑りそうだ。
もう走る体力も無くなって
ゆっくりと、もと来た道を引き返し始めたときだった。
道筋に生えている木の陰にあいつは居た。
小さなガラスのおわんに降る雪を受け止めていた。
彼は私に気付くと自信ありげな表情で、すたすた歩いてきた。
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