創書日和「火」/虹村 凌
 
れていたんだもの

そんな風に火をつけていたら
公園は火に包まれてしまった
もう燃やすものが無い

僕はお巡りさんに捕まった
彼女を喜ばせる為の燐寸も
彼女を笑わせる為のオイルも
全部取り上げられてしまった
これじゃあ彼女を喜ばせられない
僕がそういうと
お巡りさんは僕を殴り飛ばした

生意気な小僧だ
こんなに火を放っておいて
女の所為にするとは何事だ

僕は悲しくなって彼女の方を見やると
彼女は手を叩いて笑っていた

綺麗な火が見えるの
こんな火なんかよりもっと綺麗よ
紫色の変わった色ね
もっと私に見せて頂戴

彼女がこう言うので
僕はお廻り
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