創書日和「歌」/虹村 凌
滝の側まで連れて行って
雨の日の滝の中で歌う声が
これ以上無いくらいに美しく聞こえたから
もう誰にも聞かせたくないと思った
明日は水曜日
僕の好きな日に
好きな物を手に入れよう
雨の日の滝の中で歌う声が
世界で一等綺麗だと言うから
嬉しくなってあの人の家に行くの
明日は水曜日
あの人の好きな日に
何を歌ってあげようかしら
晴れた日の僕の部屋で歌う声が聞こえない
綺麗な声がもう聞こえない
もう誰も聞くことが出来ない
明日は二人の真ん中バースデー
一緒に誕生日を祝おうね
誕生日の歌を一緒に歌おうね
晴れた日のあの人の部屋で歌が歌えない
綺麗だと言ってくれた声が出ない
もう誰にも声を聞かせられない
今日は私の命日
聞こえる歌は南無阿弥陀仏
あの人も一緒に歌ってる
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