創書日和「酒」 21%/士狼(銀)
もっと上手に生きられたらって
泣いた夜も
毎日少しずつ違う朝は迎えにきた
からん、と錆びた音がした
気がする
頭を撫でてくれる手が好きで
これが欲しいああして欲しいって
必死に嘯きながら
それだけがずっと欲しかった
お行儀よく提示される愛が大嫌いだった
切れ味の悪いナイフで皮膚が裂かれるみたいで
たぶん、その傷は痕になるから
それ以外は全部捨てようと思って
守ろうと思って
自分が大事だから
だから、
牙をむいて、
捨てた分の感情を埋めるために
銃爪を引くイメージのままプルタブを引く
アルコール水溶液に溺れる
そんな真似ごとだけは、
上手くなった
からん、って錆びた音がする
気がした
わたしの、あたまんなか。
時間がくれば朝が
素知らぬ顔をして迎えにくるから
もう少しだけ
静かに泣いていよう
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