きつね雨/佐々宝砂
 
その鏡に映るのは私だが
その姿はあまりにも美しい

十六歳の私は扉を開け
そして二度と戻らなかった

その姿はいまだ保存されているが
その言葉はあまりにも醜い

あざらかな夕映えは
釣りたての鯖のように
生きながら腐り

百六歳の私は扉を閉め
そして再び戻り来るだろう
   グループ"創書日和、過去。"
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