記憶の断片小説・ロードムービー「卒業」 まとめ/虹村 凌
動が薄れたみたいだ。
俺が醸し出す妙な落ち着きは、その所為だろうと思う。
老けちまつたカナシミに?
悲しくなんか無いさ。
今年も、まるで作り物みたいに雨が降ったね。
会う日は何時も雨だった。
何時もは持たない傘を、昨日は偶然持って出たんだ。
笑っちまうよなァ!ドラマだね。
昼の祖師谷を歩く、ラバーソールスーツ君とロリータちゃん。
再び男女の友情を、信じてみようと思うよ。
セックスの向こうにしか存在しえないその友情を、ね。
危ういバランスの上にいられるのは、既にセックスしたから。
「セックスしたいけどしたくない」なんて思ってると、
男女の友情なんて成立しないんだぜ!
色々と諦めて、色々と見えてしまったから。
達観してしまったから。
俺は凄い奴だぜ。ありがとう。
感謝してる。
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