金木犀 2/銀猫
 

予感する、
みどりの枝葉は
たわわなきんを孕み
ひとときの甘い溜息や戸惑いを
その足元に散りばめる

枇杷色の、
おぼろなる気配は
風の匂いに神無月の宵闇を語り
遠くなった声の記憶を
ひとすくいずつ飲み込んでゆく

きみが語った星座の名前や
遥か彼方から届く光りの
永遠は
すでに
此処に無い

天上の星影も
せつなく漆黒に溶けて
手に握るのは
ただわたしの体温と爪のかたちばかり

ひそやかに咲く
金木犀の
香り甘やかに
ほろり、ほろろ

足元に零れたこころは
ほろろ、
きみの足おとを
待っている



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