天使祝詞 ウリエル/The Boys On The Rock
山の上で
削りとられる山々を見てひとり泣いていた
人の世の穢れを一身に受け
奇怪に捻じ曲がった樹齢数百年の老木に手を当て
無言の絶叫をあげている聖霊に
何も施すことができないことを 反復して自覚するしかなった
日ごと増大する人の世の悪徳に
わたしとて 怒り 悲しみ 歎き そして無力の肉体を抱えて
唖然と成り行きを見守るしかなかった
天の威光など人の世には無意味と
乱暴に投げ掛つけられた元司祭である父の言葉に
返す言葉を持たなかった
ただ わたしは永遠に結ばれた唇で伝えていたのだ
わたしは 進んでその汚濁の中へ身をおいていることを
人の作り出した 巨大な黙示録の獣の眼前に
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