生きるって何だろう/ajisai
て一緒に哀しんでくれるなんて」
黒い翼の少年は僕の元に舞い下りてきて
ぎゅっと手を取って握りしめてくれた
「僕は何の力もない死神です
あなたを迎えに来たわけではなく
偶然に今あなたの哀しみを感じて
ここに来たんです
僕にできることは何もないけれど
あなたの未来が明るくなることを
心から祈っています」
少年の思いは強く握りしめてくれた手から
じんわりと伝わってきた
「ありがとう
僕はまだ病んでいて完全に哀しみから
抜け出すことはできないけれど
きっと将来は明るいと信じて生きていく
約束するよ」
僕は彼と別れた後もしばらく月を眺めていた
人間の心に同情する死神
不思議な少年
僕はひとりで生きてきたと思っていたけれど
きっと誰かが僕を今までも
支えてくれていたのかもしれない
そう思うとこれから先
僕は僕らしくあるがままに生きていきたい
そう強く思った
生きていくことに希望を持とうと
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