五十音頭韻ポエムか〜こ/佐々宝砂
[か]
彼女は語る
空笑いを髪に飾って
かりそめに交わすカタルシスを
からみあうカドリールを
軽やかなカデンツァを
金切り声で語る語る
彼は彼で
寡黙な肩で風切って
過失を数え
枷を固め
革命にかつえ
寡黙な肩で騙る騙る
神よ かるい片恋を彼等に
勘違いの
金縛りの
黴くさい
片恋を彼等に
叶わぬ片恋はカノン
噛みあわぬ悲しみはカノン
かるくかるく回転して
彼等を解放する
かもね
[き]
屹立する器具は究極
奇想の機械がきしめば
奇態な幾何がきざす
きのう岸辺に来た君の
気がかりな記憶を
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