粒/
下門鮎子
遠くに来ている。雨が降ってきた。
ぼくは黒い綿のパーカーを羽織って
霧雨の中を行く。
ふと見ると、砂粒のような、でも
うるおいのある水の粒が
からだいっぱいについている。
ぼくは水の粒をいっぱいつけたまま
人混みを整然と
砂粒のように行く。群衆に寄り添う。
水の粒はいつのまにか
黒いパーカーに吸い込まれた。
ぼくはどこへ、
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