ランパルトの盲雨            懐中日記より/木賊ゾク
 
日に無音を感じると
         人混みの向こうに紗夜が黒い傘を持って佇んでいる




         崩れ落ちる鼓動を押さえて、ビルの臭いは忘れられぬ
         雨が降らないか、紗夜、俺はいったい雨が好きなのだ
         人だまりを介して、小さい貴方と並んで歩く




         子供時代の未練は僕を残したまま、紗夜を思い
         俺を呼ぶようになったこの東京を雨に落としたい




         かさはあるよ、ここにいるよ、





         ふたり、そろりと、この世、おわりで、

         
  グループ"懐中日記"
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