押入の夕闇/
石瀬琳々
押入に夕闇はつと隠れてる
「もういいかい」と「まあだだよ」とで
庭先にブランコだけがゆれていて
昼のサイレン明日はとおく
陽のひかり障子にさせば心痛み
指でつくるは淋しいきつね
すりむいた膝をゆるして泣き虫は
一人で啼いてひとり忘れる
足裏でたしかめているこの夕べ
ささやき過ぎる風は「明日」と
前
次
グループ"薊道"
編
削
Point
(17)