わたくしの小鳥/石瀬琳々
 
ことりことり、ないているのかうれしくてまたかなしくて冬の青ぞら


立ちつくす白い時間をせつなさは雪を見ている君の目に降る


窓とおく汽笛は過ぎてひかりのみ冬の手紙を燃やす夕べを


夢に泣いて目覚める日々の雨しずく永遠なんて知らなくていい


また過(よ)ぎる汽笛をのんでガラス窓思い出だけをさがす雪原


廃園の眠りのなかに光あり記憶の薔薇のうつくしく咲く


月の出を待つ砂浜を駆けてゆくまぼろし、春の静かなひづめ


ベルが鳴り、いつか飛び乗るはずの列車走り去りゆく風の往来


わたくしの小鳥を空に放してはまた拾う木霊やさしい明日(あす)を



   グループ"薊道"
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