5.緩火と太陽/朽木 裕
えないけど」
「からだの、音?」
「うん」
雪に傾いだ廃屋の中に一条のひかり
太陽に目をほそめるあなたが好きだ
数年前は太陽みたいだったあなた
毒を盛ったのが僕だってまだ気付かないんだ
なんておめでたいんだろう
前は完璧すぎて嫌いだったけれど
だんだん顔が爛れてちょうどよい美しさかな
僕とのバランスとしては
僕は生まれつき醜い
両親に言わせれば顔形ではなく精神が滅法醜いらしい
心に小さな焔を育てて生きてきた
美に
すべからく美に死を齎すことを夢見て
焔は綺麗だ
だが恐ろしい
美しい焔が美しい顔を焼いたらどんなにか
嗚呼
毒を飲ませて目を見えなくさせてから
顔を焼いた、半分だけね
君は少々ひねくれたけれど本当に根っこが無垢で
そんなになってもまだそんな綺麗な瞳で僕を見る(見ようとする)
「本当に愛しているよ」
大好きな君
これからもっと壊してあげるね
前 次 グループ"100のメランコリィ"
編 削 Point(3)