暗い日曜日/六崎杏介
教父が恐怖した歌を聞きながら
アパートのベランダ三階から視える宇宙、スバル散開星団が胸中に宿り
踊る蛇のLSD 林檎を取るイブの子孫、虎の息吹く徒ライブの
マドリガル、窓から覗くガルーダの眼がダブる 視界の主の残骸に
積もる塵は墓守りの盛る毒、森からの死者の賛歌 一等星のタブレットを
呑み込む暗黒の創造主、グラスに満ちる未知の密造酒に溺れるセラフ
幻覚から煉獄、黒い鳥のループするバッドトリップ 減らぬセラフの
白装束・溺死ショー、不意にナイフを出す娼婦の恐怖で落とすナイーブと
パイプから摂氏千度で旋回する頭上の閃光、爛れる健康的な思考回路が
街路樹で首を吊る、嗤う それを鴉が喰らう、のを凝視する業
死を感じる、前に書簡を閉じる使命は神からの御指名、白紙の名刺に
あ、切り殺された、何時の間にか霧の濃い朝だった、ベランダに私は立ったが
自分が誰だったか判らなかった、新聞にも載っていなかった。
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