ハレアメ/ピッピ
休みだった。そんなものは絵日記の中に忘れてきたはずなのに。ずっと昔。前世の記憶に少しだけ残っていた。あの頃と違うのはただ一つ。
(一人ぼっちは痛いものだとばかり思っていた。)
シンメトリーは気にしない。あなたが創りだす景色に混ざらないように、必死にあなたと呼吸をする。あなたに飲みこまれそうになると、私はあなたを飲もうとする。どちらが子宮を持つかなんて、もう意味がない。
(涙がにじんでいるよ。あなたの空に。)
充分だった。空腹でもあった。あなたは空中で見せ物を始める。何?それはダイアモンドやプラスチックの類いだったかもしれない。でも私にはガラスの破片に見えた。空は赤く染まっていた。
(アスファルトに咲く、雨がやむとはなびらが閉じ始める花、なーんだ?)
黒い髪が乾く。ひからびていく。電波の通りが悪いことにも関係しているのか。今にも青空が広がりそうな日の入り。あなたが見えなくなっていく。
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