ペンキ職人/
恋月 ぴの
思わず声にしてしまった
ことばよりも
言い出せなかった
ことばの
内に秘められた真実
レンガを幾つも積み重ね
ひとは誰でも
その真実をこころに閉ざしてしまう
日々の暮らしと
日々の思い
繰返しながらも
昨日とは異なるものを
生きている
確かさ
六尺の脚立に登れば手にした刷毛で
レンガの壁に描く
人生の軌跡
そして
ことばには出来そうもないものを
ペンキ職人
この手のひらの上に
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